お知らせ
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京都大学大学院情報学研究科情報教育推進センターは、ITが非常に進んだ時代の、大学および大学院の新しい全学共通情報教育カリキュラムの策定・実 施を行うとともに、このための教材コンテンツや教育・FD支援システムの開発を行うことを目的に平成21年11月に設置されました。
情報教育の現状とこれからの需要を明らかにするべく、今回、イベントを企画いたしました。
日時:3月11日(木)9:30-12:00, 14:30-17:00
場所:東京大学 第四イベント会場(法学部1号館22番教室 225名)
情報技術が様々な学術領域の研究に必要となりつつあり、従来の学部中心の全学共通情報教育のみならず、大学院における情報教育の重要性が増してい る。しかしながら、我が国の大学においては、全学的な大学院共通教育の仕組みが未だ未整備であり、また、各研究科における情報教育の需要も明らかになって いない。
本セッションでは、大学院レベルの共通情報教育について、実際に、各大学でどのような取り組みが行われているかについて事例を示していただきながら、議論を行いたい。
IT環境の広がりにより、学ぶ環境が大きく変化し、いつでもどこでも学習ができるというe-learningや講義映像・教材のアーカイブが広がってきている。
また、LMS等のようにIT技術を利用することによる新しい学習管理環境も構築されつつある。そこで、本セッションでは大学における教育において、 ITをどのように活用することにより、効果的な学習環境を作ることができるのかについて、事例を示していただきながら、これからの教育環境を議論したい。
9:30-9:55 | 京都大学における大学院共通情報教育の取り組み
(京都大学大学院 情報教育推進センターセンター長 田中克己) |
情報技術は、今や社会基盤を実現・維持していくための基盤的技術であるとともに、大規模シミュレーションや大規模情報分析など、学術研究の新しい方 法論をも提供する基盤技術になりつつある。また、社会における情報の取り扱い(作法、社会制度、情報セキュリティ、情報倫理、知財など)に関する教育が、 従来、大学で十分になされておらず、さまざまな問題を引き起こしつつある。京都大学では平成21年度から、学術研究の方法論を支える情報科学・計算科学、 および、社会における情報の取り扱いに関する基礎知識修得を中心に捉えた、大学院における新しい全学共通情報教育を指向して、そのカリキュラムの設計と教 育の推進を行っている。また、従来の授業評価アンケートなどの画一的なFDにとらわれず、受講生の予習復習や教員の授業改善のための講義・教材アーカイブ の開発整備、コースマネジメントシステムに基づく教員/学生の対話機会の増加など、情報技術を用いた新しい教育支援システム・FDシステムの構築を行って いる。ここでは、京都大学におけるこのような大学院共通情報教育の取り組みについて述べる。 | |
9:55-10:20 | 実践IT力を備えた人材育成の取組みと大学院研究科共通教育プログラム
(筑波大学大学院 システム情報工学研究科 北川博之) |
筑波大学大学院システム情報工学研究科コンピュータサイエンス専攻では,文部科学省の魅力ある大学院教育イニシアティブ「実践IT力を備えた高度情 報学人材育成プログラム」(H18-19),先導的ITスペシャリスト育成推進プログラム「高度IT人材育成のための実践的ソフトウェア開発専修プログラ ム」(H18-21),組織的大学院教育改革推進プログラム「ICTソリューション・アーキテクト育成推進プログラム」(H20-22)等,実践IT力を 備えた人材育成のための一連の取組みを進めてきた.本講演ではその概要を紹介する.併せて,平成20年度から導入された筑波大学における大学院共通教育プ ログラムの概要についても紹介する. | |
10:20-10:45 | 大学院GP「大学連合による計算科学の最先端人材育成」の活動報告
(神戸大学大学院 工学研究科 情報知能学専攻 賀谷信幸) |
本教育プログラムでは、計算科学の分野横断型教育を目指して、いろいろな取組みを行っている。主なものとして、シミュレーション・スクール、e-Content作成、TV会議システムを用いた複数大学同時講義を実験的に開催した。
シミュレーション・スクールでは、「他分野の計算機シミュレーションを学ぼう」、「計算機科学の基礎から高性能シミュレーションへ」、「差分法をマスターしよう」と題して、計算科学で提唱されているSMASHのすべての切り口をテーマにした。 講演では、本教育プログラムでの詳細な教育活動の報告する。 |
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10:45-11:10 | 人文学と情報技術とその教育:京大文学研究科の例から
(京都大学大学院 文学研究科 林晋) |
最近のデジタルカメラや媒体の高性能化・低廉化と,WEBアーカイブ技術の進化と普及により,古い文献資料をその主な研究対象とする史学・古典学の 研究手段が急速に変わりつつある.たとえば,文書館を訪問し歴史研究者自ら数千枚の資料をほとんどコストゼロで撮影する,現地の図書館・文書館などを訪問 することなくネットを通して史料のカラー画像を入手する,データベースで書簡などの所在を瞬時に見つけ出す.10年前には想像するのも難しかったことが現 在では容易に行える.人文学研究を妨げていた非本質的な物理的制約が取り除かれつつある.この史料研究の新時代において人文学者が必要とする情報技術の知 識はなんだろうか.この問いを主に京大文学研究科での取り組みを通して考える. | |
11:10-11:35 | 医学研究におけるコンピュータスキルの役割
(京都大学 医学研究科附属ゲノム医学センター 山田亮) |
医学分野において、計算機・データベースを活用することは、基礎医学研究・臨床医学研究・臨床医療のいずれにおいても日常化してきている。また、昨 今のゲノム研究をはじめとする大規模データを特徴とする研究成果が蓄積し、それを利用することが多くの医学研究領域において不可欠となっている。このよう な事情から、基礎的情報学技術の習得の必要性が増大している。しかしながら、医学部教育・医学系大学院教育において、そのようなデータ活用を前提とした教 育は制度化されておらず、個々人の努力にゆだねられているのが実情である。このような医学生物学分野において求められている情報学の基礎的技術の高等教育 における課題について概観する。 | |
11:35-12:00 | 全体討論 |
14:30-14:50 | 携帯端末向けオンライン講義視聴支援システムの開発
(京都大学大学院 情報学研究科情報教育推進センター 中村聡史) |
本講演では,京都大学情報教育推進センターにおいて開発を進めている,iPhoneなどのモバイル端末向けのオンライン講義視聴支援システムについ て紹介を行う.本システムを利用することで,ユーザは通勤通学途中などの時間を利用して講義の復習を行ったり,自身の講義がどうであったかを見直すことが 可能となる.また,本システムを介して学生と教員とのインタラクションを可能とすることにより,学生からの質問に答えたりすることが可能となる. | |
14:50-15:20 | アイスタントを活用した全学的FDの取り組み
(岩手大学 人文社会科学部 後藤尚人、 大学教育総合センター 江本理恵) |
岩手大学大学教育総合センターでは,平成17年~平成19年度に大学教育センターによる組織的授業改善と教室外学習支援システムの構築」プロジェクトに取り組み,教育支援システム「アイアシスタント」を自主開発して全学規模で運用している。
このような教育支援システムには,BlackboardやMoodleなどのよく知られたシステムがあるが,この「アイアシスタント」の特徴は「日 常的な授業改善」を実施する機能を強化したところにある。具体的には,本システムの「シラバス」と「授業記録」という機能を利用することにより,授業実施 のPDCAサイクル(授業計画の作成:Plan→授業実施:Do→授業記録:Check→改善策の検討:Action)をWeb上に可視化,共有化するこ とができる。 今回は,このシステムの概要と実際の運用状況について概説する。 |
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15:20-15:50 | 東京大学の教育におけるICT活用の取り組み -MEET, KALSを中心に-
(東京大学 教養学部附属教養教育開発機構 西森年寿) |
東京大学における情報通信技術を活用した教育環境整備に取り組むTREE(TodaiRedesigning Educational Environment)プロジェクトのうち、授業でのICT活用に関する取組みとして、MEET(大学総合教育研究センター マイクロソフト先進教育環境寄附研究部門)の成果と、KALS(Komaba Active Learning Studio)の詳細について報告する。MEETでは、Meet eJournalPlus(批判的読解支援ソフト)や、Meet Video Explore(映像クリップ視聴探索支援ソフト)など、タブレットPCを使った大学授業向けのソフトウェアの開発を行った。KALSはICTを活用した 協調学習向けの駒場キャンパスの教室である。1~2年生向けの文系・理系・語学授業で、学生参加型の授業が行われている。 | |
15:50-16:20 | eラーニング専門家をeラーニングで養成する熊本大学大学院教授システム学専攻の取り組み
(熊本大学 総合情報基盤センター・大学院社会文化科学研究科教授システム学専攻 中野裕司) |
熊本大学では、2006年、eラーニング専門家をeラーニングで養成する大学院として、大学院社会文化科学研究科教授システム学専攻を開設した。本 専攻では、教育活動やコース・教材をシステムとしてとらえ、科学的・工学的にアプローチする教育研究分野である教授システム学を、インストラクショナルデ ザインを中心に、情報技術、マネジメント、知的財産権といった分野を体系的に教育研究する。修了生に求める職務遂行能力(コンピテンシー)に基づくカリ キュラム設計や、LMS上の各種機能を中心に、学習ポータル、eポートフォリオ、Web会議、VOD等を活用した遠隔eラーニングによる授業や研究指導等 に関して報告する。 | |
16:20-16:40 | 京都大学オープンコースウェア
(京都大学 学術情報メディアセンター 土佐尚子) |
2005年から始まった京都大学 OCWは、学内で実際に利用している講義教材をインターネットで公開するプロジェクトです。学内の学生、教職員、他大学の学生、関連学会の研究者、京都大 学を志願する高校生、さらなる学習を志す社会人など、あらゆる方々に京都大学の講義内容を知っていただき、門戸を広げることを目的としています。また、世 界へ向けて、京都大学のビジビリティを高め、日本の文化・伝統を発信するために日本語でも積極的にアピールしていきます。OCWは、人類の知的資産の貢献 と共有を目指して、世界各国とのコミュニケーションを高め、国際交流の推進を目標にしています。 | |
16:40-17:00 | 全体討論 |